藤建設が考える、100年へ続くまちづくり
道路や河川、地域の人が集う公園や施設。藤建設株式会社は、田原の暮らしに身近な場所で、さまざまな工事に携わってきました。1952年の創業から70年以上、この土地を支え続けてきた同社は、来年、創業75周年を迎えます。この節目に何を思い、100周年に向けて何を大切にしていきたいのか。代表取締役の藤城敏光さんと、現場で施工管理を担当する彦坂さんに話を聞きました。


暮らしと安全を支えてきた、藤建設の歩み
藤建設の歴史について教えてください。
始まりは、先代社長の祖父が石工の仕事を始めたことでした。その後、1952年(昭和27年)から土木請負業として本格的に歩み始め、1966年12月に法人化しました。ただ、それ以前から地域の建設を担ってきた歴史があります。土木・造成工事から始まり、建築工事、リフォーム、耐震改修、介護リフォーム、解体工事まで、70年以上のなかで手がける仕事の幅は着実に広がってきました。それでも、田原市の暮らしを支えるという仕事の軸だけは、創業からずっとぶれていません。

藤建設の実績について教えてください
道路、河川、上下水道、公園整備といった、田原市の生活基盤を支える工事を、長年にわたって受注し続けてきました。行政から直接受注する元請案件が中心であることも、品質と信頼を積み重ねてきた結果だと思っています。
田原の葬祭場では複数の建設会社が力を合わせるJV(共同企業体)という形で施工を担当し、現在は運営・管理業務も任せていただいているほか、 野⽥中学校の体育館の新築などにも携わりました。田原市を知る方なら誰でも知っている施設の多くに、私たちの仕事が関わっています。
「ふるさとづくりのお手伝い」という言葉と、まちへの想い
藤建設が大切にしている「ふるさとづくりのお手伝い」という言葉には、どのような思いが込められているのでしょうか。
もともとは先代の会長が考えたキャッチコピーです。当初から深い意味を込めていたというより、地域で仕事をする私たちの姿を、親しみやすく表した言葉だったのだと思います。
ただ、この言葉を掲げて仕事を続けるなかで、地域の皆さんの「つくってほしい」という願いに応え、暮らしを支えていくことが、私たちの役割なのだと自然に受け止めるようになりました。日々の仕事を通じて、言葉の意味が育ってきたと感じています。
この言葉の意味合いを、今後広げていきたいとも考えているそうですね。
地域の皆さんの願いに、工事を通じて応えることは、これからも大切にしていきます。そのうえで、このまちで暮らし、仕事をする私たち自身が、まちに必要なことを考え、提案し、行動していきたいと思っています。
受け継いだ「ふるさとづくりのお手伝い」という言葉を大切にしながら、75周年から100周年に向けて、地域との関わり方を少しずつ広げていきたいですね。
手がけた場所が、家族の暮らしの一部になる
藤建設は、地域でどのような工事に携わっているのでしょうか。
まちの道路や河川の工事、津波対策、治山など、地域の暮らしや安全に関わる工事に携わっています。また、親子交流館すくっとや滝頭公園、現在工事をさせていただいているサンテパルクたはらなど、地域の皆さんが訪れる場所にも関わっています。普段通る道や、休日に出かける施設、災害から暮らしを守るための備えまで、さまざまな形でまちに関わる仕事です。


特に、ご自身の暮らしとのつながりを感じる場所はありますか。
親子交流館すくっとです。自分にも子どもが生まれて、今は親として利用しています。工事に携わった施設を、今度は自分が子どもと一緒に使っている。自分の仕事が家族の暮らしにつながっていることを感じますし、携わることができて嬉しいですね。
滝頭公園も好きな場所です。毎年桜を見に行きますし、散歩をしたり、体を動かしたりすることもできます。仕事で関わった場所に、プライベートでも関わり続けられることが地域で仕事をする魅力の一つだと思っています。
現在工事に携わっている、サンテパルクたはらへの思いも聞かせてください。
多くの人が訪れる農業公園で、田原にとって重要な施設だと思っています。完成することで、これまで以上に多くの人たちに利用してもらえる場所になればと期待していますし、完成した後に、より多くの人が楽しんでいる様子を見られることも、このまちで仕事をしているからこその喜びだと思います。
自分の仕事が、このまちをもっと好きにさせてくれる
日々生活をする中でも建設業ならではの魅力を感じているんですね。
そうですね。建設業には、そのまちで暮らしているからこそ感じられる魅力があります。自分が手がけた道路や建物、川、港。一つひとつの仕事が積み重なって、まちの日々の景色になっていく。いつもの道を通るときや、家族で出かけるときに、「ここは自分がつくったんだ」と思える。その実感が、このまちをもっと好きにさせてくれますし、ここで暮らす満足感を高めてくれています。この魅力を、これから建設業に入る人にも伝えていきたいですね。
75周年を、これからの会社を考える節目に
来年創業75周年を迎えると思うのですが、どのような節目にしたいと考えていますか。
これまでの歩みを振り返り、支えてくださった皆さまへの感謝を大切にするとともに、これからの藤建設を考える節目にしたいです。会社の歴史は、一つひとつの現場と、そこに関わってきた人たちの積み重ねだと思っています。その積み重ねを受け継ぎながら、これからの地域に必要とされる会社であり続けるにはどうすればよいか、改めて考えていきたいと思っています。

まちづくりを担う人が、働き続けられる会社へ
これからの会社づくりでは、どのようなことを大切にしていきたいですか。
まちづくりを担うのは、そこで働く人です。だからこそ、仕事の魅力を伝えることとあわせて、その仕事を続けていける環境を整えることが大切だと考えています。安全に働けること、分からないことや困ったことを相談できること、技術を身につけて成長できること。そうした日々の土台を整えたうえで、社員一人ひとりが自分の暮らしも大切にできる会社でありたいです。
具体的には、どのような取り組みをされていますか。
建設業界全体では、天候や工期の都合で休日を増やしづらく、いまも週休2日を実現できていない現場が少なくありません。そうしたなか2024年4月から週休2日制を導入し、年間休日を増やしました。夏季・冬季休暇も拡充し、勤怠管理システムを導入して残業や休日出勤の見える化も進めています。
健康経営にも力を入れていて、2022年には「健康経営優良法人」に認定されました。2024年からは総合病院での健診に切り替え、希望者が追加検査を受けられる体制も整えています。社員の健康意識も高まっていて、日常的にウォーキングに取り組む社員も増えるなど、健康づくりの輪が広がってきています。
若手が会社を動かす「築会」
若手主体の取り組みもあると伺いました。
「藤建設青年部」、通称「築会(きづきかい)」ですね。40歳未満の社員約9人からなる集まりで、半年ほど前に発足し、月1回の会議を重ねながら、働きやすさやコミュニケーションの改善など、若手自身が企画書と予算をつくり、実行まで担っています。
サブタイトルは「とりあえずやってみよう」。まずは動いてみることを大切にしていて、たとえ失敗しても、フィードバックを受けて改善していけばいい、という考え方が活動の土台になっています。
社員の声 「ここで働く」ということ
会社のことは、そこで働く人の言葉にいちばん素直に表れます。理念やデータだけでは伝わらない、日々のリアルな実感を知りたくて、施工管理を担当する彦坂さん(入社5年目)に話を聞きました。

藤建設に入社した経緯を教えてください。
大学では建築を学びましたが、施工管理の資格は入社時には持っていませんでした。前職は住宅の省エネ性能を計算する仕事で、正直、建築を「やっている」という実感を得にくかったんです。地元に戻るタイミングで、改めて建築の仕事に就きたいと考えるようになり、地元のつながりを通じて藤建設を紹介してもらいました。
実際に働いてみて、どのような手応えがありますか。
施工を中心に、建築の幅広い領域に関われるのが良いところですね。設計や計算といった一部分だけでなく、「建築している」という感覚を得られる仕事内容が、自分にとっての手応えになっています。事務仕事が多い時期もありますが、現場に出て実際の様子を確認する時間もあり、外と中のバランスが取れています。働いていて精神的にきつくなる感じは、あまりないですね。
印象に残っている仕事はありますか。
入社して初めて担当したのが、自分の母校である成章高校本校舎の改修工事でした。何も分からないまま、上司の書類作成を手伝うところからのスタートでしたが、自分の母校に携われたことは大きな喜びでした。昨年は同校の体育館の改修にも携わりましたし、衣笠小学校の工事にも一部関わりました。地元ならではの、身近な施設に携われたこと。そして、建築を表面的にではなく、どこまでも追求できる仕事であること。この二つが、この仕事を続けてきて良かったと思える理由になっています。
今後の目標を教えてください。
将来的には、一人で一定規模の建築案件を担当することが目標です。今は自宅の設計にも自分で挑戦しています。
築会にも参加されているそうですね。
はい、メンバーの一人です。企画書づくりに不慣れな中でも、会議の司会を任されることがあります。上司から言われたことをこなすだけでなく、自分たちで会社をより良くしていく感覚を持てることも、働くうえでのやりがいにつながっていますね。
これから応募を考えている方へ、メッセージをお願いします。
知ることが好きな人、理解したり探求したりすることが好きな人には、この仕事はとても楽しいはずです。建築も土木も、これまでの知識の蓄積が大きい業種です。分厚い施工基準書が何冊もあるように、積み重ねられた経験の総量は大きくて、学んでいくほど探求心が満たされる仕事だと実感しています。
未経験からこのまちで働き始め、母校の改修という形で地元とのつながりを実感し、会社の改善にも自ら手を挙げる。彦坂さんのそんな歩みは、藤城さんが「まちづくりを担う人が、働き続けられる会社でありたい」と語ってきたことと重なって見えます。
100周年に向けて、まちとの関わりをつなぐ
インタビューの最後に、改めて藤城さんに、これから100周年に向けてどんな会社でありたいかを尋ねました。

これから「まちづくり会社」として、地域にどのように関わっていきたいですか。
このまちで暮らす人の目線を大切にしていきたいです。私たち自身も、地域の施設を利用し、道路を通り、ここで日々生活しています。その身近さを、仕事に活かしていきたいと思っています。地域の暮らし方や必要とされることも、これから変わっていくと思いますし、その変化に向き合いながら藤建設としてどのように役に立てるのかを考えて行動していきたいです。
創業100年を迎えるとき、どのような会社でありたいですか。
そのときにも、このまちで必要とされる会社でありたいです。そして、次の世代の人たちが、自分の仕事に誇りを持って、まちづくりに携わっていてほしいと思っています。自分たちが携わった場所を子どもたちが使い、その子どもたちが大きくなった頃には、次の世代が手がけた仕事がまちの景色に加わっている。そんなふうにつながっていったら嬉しいですね。
取材を終えて
取材前は、「地域の建設会社」という言葉から、堅実だけれどシンプルな印象を持っていました。けれど話を聞くうちに、その印象はかなり変わりました。
いちばん印象的だったのは、「ふるさとづくりのお手伝い」という言葉に込められた思いが、実はまだ更新の途中にあるという話です。先代から受け継いだ言葉を、そのまま守るのではなく、100周年に向けて自分たちの手で意味を変えていきたいという藤城さんの姿勢に、この会社の芯の強さを感じました。
もう一つ印象深かったのは、彦坂さんが入社して最初に担当した仕事が、自身の母校である成章高校の改修だったという巡り合わせです。地域に育ててもらった一人が、今度は自分の手でその地域に関わっていく。「ふるさとづくりのお手伝い」という理念と、そこで働く人の実感が、彦坂さんのキャリアの入り口で、すでに重なっていたように見えました。
田原市に暮らす人たちが毎日使う道路、水道、公共施設。その裏側に、70年以上にわたって藤建設の仕事があります。創業100周年も、この土地で「ふるさとづくりのお手伝い」を続けてほしいと、素直にそう思いました。

藤建設株式会社
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